神秘の苔の森「北八ヶ岳」。苔の種類が豊富で「苔の森」と言われ、苔と原生林で作られる景色はまるで童話の世界のよう。その麓には、自然の力がそこに集められたかのようにキラキラと美しく光り輝く「白駒池」があります。そんな苔の世界、一体冬はどんな世界になるのか?気になりませんか?私と一緒に、冬の白駒池の独特な世界観の旅へお出かけしませんか?
今回の旅は、タイトルにある通り、前半の楽しく和やかな雰囲気から一変。下山時には半泣きの苦行山行とギャップのある1日になりました。このブログは、体育Cの運動嫌い、永遠こたつの中で過ごすはずだった私が、登山にはまり今、少しずつ、恐る恐る不安・恐怖に立ち向かい、ステップアップしていく、その様子を記すブログでもあります。自然の美しさに涙。厳しさにも涙する、冒険の1日をどうか最後まで見守りください。
北八ヶ岳の基本情報
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E3%83%B6%E5%B2%B3#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:YatsugatakeWinter.JPG
- 標高
- 高低差
- 距離
- 位置
当日の様子
登山コースの様子
テキストテキストテキスト
周辺の道路状況・駐車場
道の途中の看板には、冬季チェーン必要という文字が。ゲートまで除雪はされていますが、注意して行きましょう。
駐車スペースは、蓼科・八ヶ岳自然学校の目の前のゲート前です。
駐車場についたのは7時13分。今日朝来たと思われる車2台と、前日以上前から停まっていそうな車が3台のみ。登山者は少なそうです。私達が駐車場に停め準備していると、除雪車がきて、また引き返していきました。もう少し時間が経てばもっと除雪された道になるのかな?感謝です。
トイレ
トイレは、登山スタートから麦草ヒュッテまでありません。途中のコンビニへ寄ってから行くと良いと思います。
麦草ヒュッテ手前の公衆トイレは、冬季閉鎖中でしたのでご注意ください。
登山スタート!
メルヘン街道ゲートから、妄想炸裂で登山スタート!
メルヘン街道のゲートの脇からいよいよ登山スタートです。
メルヘン街道を歩くということで、ありちゃんの妄想炸裂!meruhennnamousou爆裂のスタート!
通行止めの国道を歩いていくので、道が広い広い!ソリで鹿に引っ張ってもらえないか、鹿は無理だからとーるくんに…!?と楽しい妄想をしながら歩きます。
相変わらず頭の中お花畑だな…
雪はガードレールの下くらいの積もっていましたが、道は踏まれて締まった雪で、踏んでも少し沈むかな?という感じ。自分の歩く音がもぎゅもぎゅ、ストックを地面に刺して抜く音がぎーぎーと、規則正しく鳴り響き、なんだか自分が列車になったような感覚で、ずんずん進みます。
道路と、道端の木々も真っ白。白の他には木の黒色だけで、白と黒だけで構成されたモノクロの世界。ここは日本でしょうか!?雪山へ来るといつもそんな気持ちになります。
ずんずん進んでいましたが、中々手が温まりません。以前、ガイドさんに教えていただいた、手が寒い時の秘策。「何度も手をぶるんぶるん回転させて遠心力で血を巡らせる」術を何度もかけましたが、術がうまく効きません。とーるくんの全力手回しは、後ろから見ると一人で大暴れしている人にしか見えなくて、思わず後ろでにやにや。
ずんずん進んでいたら、だんだん体も温まるはずなのに!
防寒テムレスに、薄手のインナー手袋では、気温的に足りなかった様子。途中で術をかけるのは諦め、厚手の手袋に変えました。手袋を変えた瞬間のほっこり身に染みる有り難さや。手袋が温かいと、気分も暖か!がんばろう!と足がまた進みます。
かわいいプチ事件もありました。
とーるくんが、極寒の中、道の端でトイレへ行った後、先に歩いていた私の方へ歩いてきました。
20mほど後方に自分のザックを置いて…
どうしたの?
ん?なんでもないよ
と答え、一緒に歩こうとするとーるくん。
ザック忘れてない?
と聞いた時のとーるくんの顔といったら。
口をぱっかーんと開けて、普段細い目をカッ!かっぴらいて、ビックリ!!の顔。道中この顔を思い出して一人で笑ってました。普段、できる男の顔をしている(?)とーるくんですが、このひと、本当は抜けてるんですよ。困った困った。
走ってザックを取りに戻るところは激写できなかったのが残念。。。
これが厳しい環境の雪山なら、自分達は死んでいますね。怖)
同じ景色がずっと続く道なので、途中で飽きるかな?と思っていましたが、そんなことはなく、私の気分は最高!
道には、クリスマスツリーに使われるモミの木が立ち並び、お正月なのに、私は思わずクリスマスソングを歌いながらのハイクです♫
…と思いきや、やっぱり、きてしまいました。その時は。
あ〜あの角を曲がればそろそろ景色が変わるかな〜と思って頑張ってそこまで進んでも、また同じ景色が広がっているのです。
おかしいな、おかしいな、まだか…とーるくんにも確認してみると、「飽きてきたわ」と同じ感想。これは仕方ないですね、会話を楽しもうと割り切るしかなさそうです。
そんな景色に飽きた時はこれ!”足跡散策”です。
【第1問】この足跡、誰の足跡でしょう?♫
答えは…
うさぎです🐰
うさぎは前足に後ろ足を近づけて歩くので、こんな3つの穴のような足跡になるそう。雪の中をぴょんぴょん飛び跳ねてる姿を想像するとほっこりします。うさぎの足跡はたくさん発見できました。
次にこちらは…!?
【第2問】この足跡、誰の足跡でしょう?♫
答えは…
キツネです🦊
キツネは一直線に足跡がつきます。綺麗な歩き方!私もキツネになったつもりで綺麗なモデル歩きをして様になるかんじになるのだ!いつまでも狸ではいられないのダ!!(急になんだ、自虐か…)
わかりやすい足跡の写真が撮れませんでしたが、鹿の足跡も沢山見ることができました!
蹄の形からも鹿っぽいですね。写真は撮れませんでしたが、鹿の群れを見ることができました。ラッキー!!急いでスマホを出しましたが、間に合わず。少しでも写せないかと諦めずに何も写っていない木々の写真を連写していたら、とーるくんから「もういないよ」と冷静なツッコミをいただきました。分かってますよ。。
1匹だけいた鹿は撮ることができました!小さいけど…見つかるかな…
さて、スノーシューを初めて使う私達は、楽しみすぎて、履いてみたくて仕方ありません。「スノーシューとツボ足(アイゼンなど履かない靴だけの状態)どっちが歩きやすいかやってみようよ!」スノーシューの役割を理解していない私からの無駄な提案に、とーるくんも「試してみるか〜」とのり、スノーシューを履いてみました。
…うーん。やっぱり、あまり沈まないところではスノーシューよりツボ足のほうが楽でした^^;
道路脇の雪がふかふかの所を少し歩いて遊んだ後、すぐに脱ぐことになってしまいました。
そうこうするうちに、少しだけ視界が開けて、景色が変わる瞬間もありました。
やっぱりあんま変わらないね
あることに気がついた、展望台手前。
ところで、こんなにはしゃいで楽しんで、二人は時計は見ていたんでしょうか…?否。二人共、油断しすぎです。私は前述した通りのはしゃぎよう、とーるくんは写真をあちこちパシャパシャと撮り…
とーるくんは、ふと思いました。○時間歩いたらつくはずの展望台に、まだ着いていない。今の時間は…!?急いでありちゃんを急かします。
スノーシュー履いて楽しむ時間なんてなかったよ!
ここから、急にハイペースになった私。体力はもつのでしょうか…?
やっと展望台が見えた時、視界が開け、まるで巨大なバレーの舞台のよう。バレリーナがスケートを履いて踊っていそうな広場がぶわーっと目の前に広がり、テンションマックス!思わず駆け出してしまいました。ここが、蓼科中央高原!!
展望台は、遠くから見ると、浮いているというか、立っているように見えて、ハウルの動く城目指して歩いているような感じでわくわくしながら展望台へ歩きます。展望台の中にも雪が30センチほど積もっていて、面白い感じでした。展望台からは、蓼科山も綺麗に見れました。スキーの人がすい〜と気持ちよさそう〜に滑っていくのを、いいな〜と眺めながら少し休憩して、また進みます。
ハイペースで歩いていたら、途中で出会った山スキーのベテランそうなお祖父様2人組に、「ゆっくり同じペースで歩いたほうがいいよ〜」などなど歩き方のアドバイスをいただいたものの、白駒荘でのコーヒータイムやスノーシュータイムを楽しみに歩いていた私達は、「汗をかかない程度にがんばります〜」と言ってがつがつ進みます。
…気分はがつがつですが、私のスピードは亀の速歩き程度。熱くなり中間着を脱いでザックにしまっている間に、すぐにおじいさん達に追いつかれてしまいました。競争している訳ではないんですけどね。結局、速歩きをすれば熱くなるし、それだけ普段使っていない筋肉を使うことになり疲れるしで、アドバイスいただいた通り、結局はしっかり同じペースを保つことが大事だなあと実感しました。
分岐でお爺さん達とお別れ。お別れした後に何度も「スキーいいなあ!」ととーるくんに訴えました。
~(聞こえないふり)♪
冬季閉鎖の道路ということもあり、道にはバス停やら国道の看板が度々現れます。車が通る道路の真ん中を堂々と歩く。これもなんだか不思議な体験です。
途中の公衆トイレは、冬季閉鎖中でした。麦草ヒュッテか白駒荘まで我慢ですね。
ここまで来たら、あともう半分弱です!
チェルトをかぶり、少しの時間休憩です!1枚かぶるだけで思いの外暖かく、びっくり!
私の水筒が雪の上に落ちてますね、、失敗!
異変はここから…?麦草ヒュッテに到着!
やっと!麦草ヒュッテに着きました!!
美味しそう〜なメニュー表がずらり。誘惑にかられながらも進みます。
あれ…?足の異変を感じたのはここからです…
私の左足の付け根が少し痛いなという感覚がきました。膝や腰はたまに痛いなと思うことはありましたが、足の付け根は初めて。けれど、少し痛いくらいで、もうすぐ着く白駒荘で少し休憩すれば治るかな…?と甘くみていました。。。
なんとなく痛い足を気にしていたのもつかの間、樹林帯に入り、景色は一気に変わります。楽しみにしていた、白駒池の苔の森の雪景色が、目の前に広がります!
この森は、黒曜の森と呼ばれていて、雪が降っていないシーズンには風鈴のように垂れ下がった胞子体の珍しいコケを見ることが出来るのだとか。
看板の上にいる白い生き物は、もしかしてコケ丸(看板に描かれた絵)の冬仕様!?
途中、道の端にズボッと、膝上まではまりました。よいしょ、よいしょ。と脱出。とーるくんは、ははっと笑って写真を撮るだけで、助けてくれたりなんてことはしません。なんてやつだ!笑っているとーるくんに言い返す余裕はありました。
ほんの少しの距離ですが、樹林帯を抜ける瞬間があります。夏に来た時も、ぱーっと広がる空に、どこでもドアをすり抜けたような、変な感動があったのですが、やっぱり冬も変わらずその変な感動が!!全身で太陽の光を浴び、森の優しい光も実感します。
この後すぐに樹林帯に入った?と思いきや、その後待っているのは、もっと!!壮大な雪景色!白駒の奥庭です。
壮大な景色に思わず感嘆がこぼれました…!
彩雲(さいうん)も見ることができました!虹色に染まる雲。よくお祭りで売っている、インスタ映え!な綿あめ…なんて比較にならないくらい綺麗で、思わず見とれてしまいます…
奥庭を堪能した後、また樹林帯に入ります。
木漏れ日から、雪がふわ〜っと舞っているのが見えて、とても綺麗…
分岐を、白駒荘の方へ向かいます。
途中の東屋をすぎると、雪に覆われた白駒池が見えました!
巨大スケートリンク、再び現る!!
もうすぐ!!白駒荘だ!!
けれどこの時には、気がつけば私の足はイテテ、イテテ、と少しびっこを引く感じになっており…白駒池でスノーシューで遊ぶ目的は果たされず…白駒荘で休憩して、おとなしく帰ることに…とーるくんだけ、池に入り、写真を撮ります。
祝100周年!白駒荘に到着!
白駒荘へ着くと、ほっとひと安心。海外の別荘のような、素敵な空間広がる白駒荘で、トイレをお借りし、コーヒータイムです♫
ケーキは残念ながら、まだ焼けていなかったようで食べられませんでしたが、売っていたお菓子セットをお供に、白駒池を眺めながら、優雅なコーヒータイム。ここで眺める朝日や夕日、湖面に映る星空も最高そうです。
白駒荘のホームページでは、「近くに地球を感じる宿」と書かれていました。なんて素敵な表現!!
ちなみに、ケーキがないと聞いた私は、女将さん(?)に「自分で持ってきたお菓子食べてもいいですかー?」と質問をして
女将さんを困らせてしまいました。席に座ると、「持参したものは食べないで〜」といった紙が。申し訳ないことを聞いてしまいました。。砂糖の代わりにチョコどうぞ。と1ついただきましたが、もしかしてサービスしていただいたのかも…?
コーヒーをいただいた後、ブログに載せる写真を撮って良いか聞くと、あんな失礼な質問をした私にも、快くOKしてくださりました。ショップはとてもおしゃれな空間で、かわいい絵の描かれたグッツが沢山!!乙女心をくすぐります。
いざ!帰宅!私の足は…?
休憩中は痛みを感じずにゆっくり過ごすことができ、一安心していた私。
白駒池でスノーシューで遊ぶことは、足を考えやめましたが、帰ろうと少し歩き始めると、また痛みだします…
帰りは、足を考えて少しだけ近道をして、樹林帯を早めに抜け、国道へ合流する道へ。合流する直前にあったお土産やさんは、冬季閉鎖中でした。
痛みで、だんだんと、景色を楽しむ余裕も無くなってきました。が、まだ大丈夫。と足を半分引きずりながらの下山です。
これからの長い道のりを考えると、つらかったです…そんな私の暗い心を励ますように、彩雲がまた姿を現します。頑張れ、私。
行きよりも風が強く、帰りはこんな景色も見ることができました。
地面の雪が風で削られて、さ〜っと自分の方へ流れてくるのです。まるで雲の上の世界の川の上に立っているような、不思議な感覚になりました。少しの間立ち止まり、川の上で景色を見渡します。
足の痛み、寒さ、風。自然の厳しさを実感し、苦しいはずなのに、この綺麗な世界に引き込まれ、魅了され、自分が生きている。と実感する。登山を始める前の、ずっとこたつの中で籠もる平和すぎる私の世界とは、真逆の世界。私は、こんな所になぜいるんだろう?こんな大変な思いをしてまで。今でも雪山を始めた自分が信じられない。こんな危険な思いをして、ばかなの?
何度もこんなことを思うけれど、山へ行かずにはいられない。この感覚を沢山のひとに伝えたいけれど、上手く表現できないのがもどかしい。足はいたいけれど、なんとか進める。大丈夫。たどり着ける。と自分に言い聞かせながら、進みます。
近くに見える看板の下までたどり着くだけでも大変…
よたよた足をひきずる私を見かねたとーるくんの一言。「おんぶしようか?」
ザックを背負った私をおんぶして、残りの5キロを歩くと言うのです。
神ですか……?
おぶってもらうことは最終手段にすることにしたものの、時間的に、今のペースで下山すると日が暗くなってしまうことを確認。とーるくんにザックを背負ってもらい、ストックに頼りながら歩くことに。痛みをこらえながら、少しペースを上げて歩きます。
傾き始める太陽に焦りながらも、最悪ヘットライトがあることをお互いに確認しあい、進みます。
行き同様、同じ景色が続く中、不安に押しつぶされそうになりながらの下山です。
もし歩けなくなり、とーるくんにおぶってもらった時、とーるくんが転んで骨折したら?などなど、ほぼ安全な国道歩きでも、私の不安は止まりません。痛みとともに、押し寄せてくる様々な危険予測に震えながら、深呼吸して、その時はこうする、対応を考えながら、眉間にシワを寄せ半泣きで歩き続けます。
長い長い道のり。余計に長く感じました。
あと少し。最後の道と分かった時の安堵感といったら。
行きで見つけたモンスターを再度発見。「なにやってんだい〜」と言われてる気がしました。
自分の車が見えた時、ふっと力が抜けて立ち止まってしまいました。最後の力を振り絞るように、車まで戻ります。
車の中に座った瞬間、涙が溢れてきて、びえーーーーんと子供のように泣きました。今までで一番辛い山行でした。
これも醍醐味!登山後のラーメン
帰りは、ハルピン味噌ラーメン雷蔵で、角煮味噌ラーメンを食べました。
安心できる場所で食べることができることの有り難さ。美味しくぺろっといただきました。
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